平成13年度展示  Top page

第92回展示
シンデレラ展
 

 7月3日(火)〜31日(火)
 
 解説 歯学部助教授 木村利夫
 

 はじめの言葉
     
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解説
   
 

 


 
 
はじめの言葉

  シンデレラ物語は、実は「民話」に属し、世界中に同じような類話が見つかる大きな物語群を形成している。細部に渡って分類がなされ、「シンデレラ・サイクル」という専門用語が存在するほどである。日本にも、類話がたくさんあるし、一番古いものとしては、中国に残されているという研究もある。

  『シンデレラ』は、日本ではもっとも有名な童話のひとつで、老若男女を問わず、絶大な人気を博している。しかし、日本人が一般に見聞きするシンデレラ物語は、実はシャルル・ペロー(1628 ? 1703)の『童話集』にある『サンドリヨン』(シンデレラは英語訳であり、もともとの原文のフランス語では、<サンドリヨン=灰まみれの少女>である)に起源をもつものであることを知る人は、それほど多くはないであろう。そして、「魔法使いのおばあさん」は、名付け親の妖精であることを知る人も少ないかもしれない。

 たくさんのシンデレラ物語群の中から、どうしてペローに行き着くことになるのか、それが今回のシンデレラ展のひとつの焦点になるかもしれない。大胆な言い方をすれば、次のような流れになるのではないかと考える。『ペロー童話集』が1729年にロバート・サンバーによって英語に翻訳された。それが、瞬く間に、英国全土に広がる人気を博することになり、あたかも自国で生まれた文化の如く英国は『シンデレラ』の世界を享受することになる。そこには今回の展示で出展される、小さな小冊子本である「チャップブック」が下支えをしたと考えられる。このチャップブックが時代の変化と共に発展解消し、絵本となり、様々な玩具となったりと、多様な形で現代に繋がったものと考えられる。勿論、話しはそれほど単純ではなく、直線的ではないのだけれども、大枝を切り落としてしまえばそうした流れになるのではないだろうか。そして、最近になってからでは、やはりディズニーの映画と絵本の存在が圧倒的な影響力をもたらしたと言ってよいだろう。その功罪はともかく、『シンデレラ』はあたかも永遠不滅の物語になったように見える。

  本学図書館所蔵の「シンデレラ」関係の図書その他のコレクションは、日本屈指のものである。これほどまでに体系立てて、コレクションがなされたことは驚愕に値する。是非、その目で、シンデレラ物語の歴史を作ってきた作品に触れていただきたいものである。その誕生から今日まで全く人気が衰えることがなく、多くの人に愛されてきた『シンデレラ』の世界をもう一度子供になった気分で眺めていただければ幸いである。

                       歯学部助教授 木村利夫